ナキムシハナコの奮闘日記

教師になるという長年の夢が叶うものの、うまくいかないことばかりで悔し涙があふれる日々。そんなハナコの日常をちらみせブログ。

「死ね」という言葉の裏がわ

「子どもの言葉や行動の背景を考えて、生徒ひとりひとりと向き合います」

これは、私が採用試験で必要なエントリーシートに書いた言葉である。

本当にそうなりたいと思っていたし、当たり前にできることだと思っていた。

しかし、それは私にとってとても難しいものであった。

 

 

「うるさい、死ね、どっかいけ」

こんな言葉、真顔で言われたことありますか?

これは、Aと初めて出会った日に言われた言葉である。

Aとの出会いは、離任式での服装注意からのはじまりだった。

なんの関係もできていない大人から注意され、なんやこいつ!となったのであろう。

そこから何を話しても、「消えろ、死ね」と言って、関わり合おうとしない。

 

そんなとき、なぜこの子は、そんな風に言うのだろう?と冷静に考えれば良かったのかもしれないが、そんな余裕はまずない。

 

そもそも、23年間生きてきたなかで、「死ね」や「消えろ」と真顔で言われた経験がなかったので、子どもが言っていることとはいえ、本気で傷ついた。

それでも、出会った日に、だめなことをだめだと注意したことに後悔していないし、その後もだめなことはだめだと言い続けた。

 

出会ってから1週間経った頃、一度きちんと話さなくてはと思い、Aを呼び出した。

「なぜ、なんでも死ねとか消えろで片づけようとするの?過去になんかあった?」

と聞くと、Aは「なんでそんなこと教師に言わなあかんの?」と答えた。

「それは私が出会ったばっかで信用ないから?」と聞くと、

「大人は誰も信用できない」と答えるA。

 

あとからわかった話だが、

Aが小学生の頃、親が離婚。母は再婚し、子どもがいるようだ。

自分は親に裏切られたと感じているのだろう。

とげとげした言葉をふりまく彼女は、何かと戦っていたのだ。

急に現れた大人が母を奪ったという彼女の過去。大人に対する不信感。

そんな彼女のもとに、急に現れた私。

そして会って間もなく注意をされる。=否定されたと感じる。

彼女の「死ね」の裏がわには、そんな辛い過去の経験が隠されていたのだ。

 

それに気づいたとき、私は自分がなりたいと思った教師に程遠いと感じた。

目に見える態度や言葉しか見れていなかった。

あれだけ背景を考えられる教師になると意気込んでいたのにもかかわらず。

それに気づかせてくれたのはAだった。

 

とても大切なこと。簡単ではないこと。

でも、それが私の仕事。

 

Aとは、だいぶ関係ができてきたが、プライドの高い彼女は、注意されるとすぐ反発してしまう。

反発されるからと、Aを無視するのは簡単だ。

自分も傷つくことはないだろう。

それでも見捨てるわけにはいかないので、今日も私はAと向き合う。

 

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教員採用試験 教職教養らくらくマスター 2020年度

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